Twitterお題でお医者様コンビです。
結論的に言えば……
色々と、暴走しましたすみません。
*attention*
・白昼夢設定お医者様コラボです
・嫉妬ネタ?なのかな。
・なんか、アンバーが悪役っぽい(でも彼はからかってるだけ)
・ジェイドのキャラ崩壊著しい気が(敬語外れてるよ)
・相変わらずの残念クオリティ
・ジェイドがメンゲレさんを溺愛というか…依存してるというか。
・↑っぽいのを書きたくて撃沈した感じがします。
・ナハトさん、いろいろすみませんでした
以上が大丈夫な方は追記からどうぞー!!
"貴方が離れることを望むなら離しましょう"
僕は以前そういいました。
でも、それを実行することは、可能なのでしょうか……?
離れゆく心を繋ぎとめるすべなど、僕は知りません。
ただ永遠を信じ、貴方が傍に居てくれる未来を望むだけ。
そんな子供っぽい幻想を抱くなんて、想像もしていませんでした。
***
Side ジェイド
窓から見える、景色。
外では部下たちが薬草園の手入れをしているのが見えて。
僕はといえば、部屋で書類の整理。
自分たちだけでなんとかできる部下を持てることは、嬉しいのですけれど……
何だか、蚊帳の外な気もして。
少しだけ、寂しいような気もする。
「ジェイドー、間違ってない?それ」
「え?」
不意に聞こえた声に、驚いて顔を上げました。
聞きなれた声は、黄色い髪の、統率官のそれで。
ペンを走らせていた書類に視線を落とせば、確かに誤字。
「何やってるのさ。珍しいね、ジェイド」
「僕だって、偶にはミスをしますよ……
というより、貴方の方こそなんですか。
部屋に来るのはかまいませんが、ドアから入ってきなさい、ドアから」
空間移動の魔術で入ってきたらしい彼の気配に気づかない僕も僕ですけれど。
アンバーは可笑しそうに笑いながら、さっきまで僕が視線を向けていた方を見る。
「誰見てたの?あの、メンゲレって子?」
「……だったら?」
僕と彼がよく一緒に居る事は、きっと誰もがわかっているはず。
その理由を理解している者があまり多くないことを祈るばかりですが……
目の前の彼は、勘がいい。
もしかしなくても、察しているのかもしれませんね。
アンバーはふっと笑って肩を竦めました。
「別に?ただ……良いなぁ、って思ってね」
「は?」
彼の言葉に一瞬動きが止まる。
いいな、とはいったいどういう意味ですか、アンバー。
「言ったでしょ?僕の部隊は地味だし、花がないし。
簡単に言えば、前にフィア君をスカウトした時と、理由はあまり変わらないよ……
聞いたところ、"彼"も相当頭がいいらしいしね」
「貴方も大概悪趣味ですね」
どうやら、アンバーはメンゲレをスカウトしてみたいと暗に僕に言っている様子。
動揺しているのを悟られないように、冷静な声で言い放つ。
アンバーは楽しそうに笑って、僕の方に来て、言いました。
「君は他人を繋ぎとめるのが上手くないからね。誰かにとられても、知らないよ?」
「たとえば誰に?」
僕が言うと、アンバーはふっと笑う。
彼が、僕をからかっていることはわかっていました。
でも……どういうわけか、自分自身の言葉に制御がきかない。
こんな突っかかった物言いをすれば、動揺していることがばれるでしょうに。
アンバーは面白がっているように、言葉を紡いで。
「彼の、元々の上司とか。
所属する部隊が変わっても、誰かを慕う気持ちは変わらない。
自分だけを見てくれてる、って思うのは早合点だよ」
「解っていますよ」
解っている。
解っている、つもりです。
でも……実際は、どうなのでしょう。
***
それから、数時間。
部屋のドアがノックされて、聞きなれた彼の声が僕の名を呼ぶ。
それは、黒髪の天使の声。
聞き違える、はずがない。
「いいですよ。入ってきてください」
「失礼します」
律儀に言って、部屋に入ってくる黒髪の彼。
先刻まで、この窓から見ていた彼が同じ部屋にいると、何だか安心するのです。
今僕が手を伸ばせば触れることが出来る、この距離が。
「ジェイドさん?どうかしましたか?」
僕がじっと彼の深緑の瞳を見据えていたからでしょうか。
不思議そうに首をかしげる、メンゲレ。
僕は"何でもありませんよ"と返答して彼が差し出したレポートに視線を落とす。
昼間に皆でしていた薬草園の手入れのこともきちんと報告されている。
丁寧にまとめられたそれにミスはなく、やはり優秀な子だ、と思いました。
「ありがとうございます。助かりました」
僕が笑顔で言うとメンゲレも微笑み、頷く。
と、その時。ドアがノックされて。
「どなたですか?」
「僕だよ、アンバー」
珍しく、ドアをノックした彼。メンゲレはきょとんとして瞬きを繰り返す。
僕が"どうぞ"といえば、相変わらずの笑顔のまま、部屋に入ってくる。
くすり、と笑ってアンバーはメンゲレの方を見る。
メンゲレは不思議そうに首をかしげるばかり。
アンバーは僕の方に視線を移して、訊ねました。
「正攻法なら、許してくれるの、ジェイド?」
アンバーは僕から視線を外すと、まっすぐにメンゲレを見つめる。
実質、アンバーのほうが背が低いので見上げているような形になってはいますが……
「ねぇ、メンゲレ君。率直に言うけど……」
―― 僕たちの部隊に、来る気はない?
「え?」
困惑した、メンゲレの声。
正攻法、とはそういうことですか、アンバー。
回りくどくいくのでなく、直接本人に意志を問うと?
「僕の部隊、わかるよね?水兎。
作戦立てたりするのが専門なんだけど……
君くらいの魔力があれば、絶対向いてると思うんだ」
楽しそうに笑いながらメンゲレを見つめているアンバーと
それを見つめ返しながら完全に困惑しているメンゲレ。
琥珀色の瞳が、まっすぐに深緑の瞳を捉えている。
―― 一体どうして?どういう意味なのだろう?
メンゲレがそう考えているのが、目に見えて。
―― それさえも、何故だか……腹立たしかった。
どうして。
どうしてすぐに、NOと言えないのですか。
「冗談も大概にしてくださいよ、アンバー」
メンゲレをまっすぐに見つめているアンバーの手を叩いて、僕は言う。
メンゲレは不思議そうに、或いは驚いているかのように僕とアンバーを交互に見る。
僕は……思った以上に動揺し、苛立っていたようです。
アンバーの思うままに行動しているであろう自分自身に。
事実、アンバーは僕を見て楽しそうに笑っている。
質の悪い冗談だということは、誰より僕がよく知っているのに、
何で僕は彼の思うままの行動をしているのでしょう。
解っているのに、僕はそのまま、メンゲレの手を掴んで部屋を出ていきました。
「え?ジェイドさん……?!」
困惑気味の彼の声。
答えることもなく、そのまま彼の部屋まで引っ張っていきました。
***
部屋に入るや否や、乱暴にドアを閉めて、その場にメンゲレを押し倒す。
辛うじて、背を打たせないようにする程度の魔術は発動させられましたが……
メンゲレが驚いているのは、顔を見ていればわかりました。
「い、痛いですよ……っ」
離してください、と抗議する彼を無視して、手に力がこもる。
痛みゆえか、驚きゆえか、微かに潤む、メンゲレの瞳。
「どうして、迷ったんですか?」
「え……」
低い、低い僕の声。自分の声だという認識さえ、出来ないくらいに。
メンゲレは驚いている、寧ろ、怯えてさえいるかもしれない。
今までも、何度かこういう風に拘束したことはありますが、此処まで……
此処まで本気で、押えていたことは、きっとなかったから。
でも、それくらいに……
不安?苛立ち?この感情は……何?
「どうして、すぐにいかないといえない?迷いが生じたから?」
普段の口調さえも崩れ、自分自身がわからなくなる。
そんな状態のままに立て続けに問えば、メンゲレはさらに困った顔をする。
彼を困らせているという自覚と、焦りで制御の効かない感情と。
勝っているのがどちらかと問われてしまえば、答えは容易に出てしまって。
「迷った、わけじゃ……」
「じゃあ何故?!」
控えめに反論しようとした彼の手をきつく押えながら、問う。
―― 解っている。
メンゲレが答えられなかったのは、迷ったからじゃない。
アンバーの唐突過ぎる質問の所為だということも。
解っていたけれど、我儘な僕は……すぐに、答えてほしかった。
"行きませんよ"って。"行くはずないでしょう"って。
「ジェイドさ、ちょっと……」
"落ち着いてください"
メンゲレがそう言おうとしているのは、わかったけれど。
「答えて!」
らしくもない、僕の剣幕にメンゲレが凍り付いた。
嗚呼、きっと、僕は今さぞかし醜い顔をしているのでしょう。
でも、これだけは言わせてほしかった。
―― 何があっても。
「……僕を選ぶと、いって……?」
弱弱しい声に、なった。
自分でわかるくらい、情けない声。
我儘だということも、わかっている。
彼はもともと、この騎士団の騎士じゃない。
元の上司……ヒムラーのことを慕っていることも知っている。
彼が優しいことも、知っている。
だからこそ、不安なのですよ。
彼が、僕から離れたいと望むようになったとしたら。
僕は、彼を傷つけないように離すことが……できるのでしょうか。
不安だとか、そういう次元じゃない。
もうこれは、依存。
きっと彼が僕から離れるというなら、僕は狂ってしまうでしょう。
否、或いはもうすでに、壊れているのかもしれない。
今まで一度だって、こんなに他人に執着したことはなかった。
「……痛かったでしょう、ごめんなさい」
静かに、拘束していた手を解いて。
一度、きつく抱きしめました。
メンゲレが名前を呼んだ気がしたけれど……聞こえないふりをして。
―― 絶対に離さない。離せない ――
(ごめんなさい。今は貴方の顔を見ることが出来ない……)
2012-10-28 19:56