とある動画で双忍の進路が忍術学園てのがあってね、そんなのもいいなあと。
「先生ももう31でしたっけ」
「そうだな」
「早いっすねー」
「お前ももう卒業だからなー」
「はは、そっか」
「ああ…なあ、きり丸?」
縁側で桜を愛でながら茶でも飲みつつほのぼのと。
「ねえ先生、」
「…何だ?」
話し遮られても何だって聞いてあげるとことか土井先生。
「そろそろ引退したらどうっすか?あ、教師じゃなくて。こないだだって怪我して帰ってきたし、もう若くないんだから」
「…そう言われてもなあ」
「変わりに俺がやるんで」
「はあ?」
「俺此処で先生やろうかと思ってるんです、て言うか、やります。学園長も教育実習受けさせてくれるって」
聞いてないのは土井先生だけ。忍が進路を明かすのかは謎だけど、てか多分きっと、明かさないだろうけど、俺教師になろうと思ってる、くらいなら、皆に明かしても大丈夫だよね。と。
「俺、彼の人達にどう育ててもらったかは殆ど憶えてないからきっと自分が親になることは出来ないけど。土井先生がどう接してくれてたかは多分は組の誰よりもわかってるから、きっと同じように返してあげられると思うんすよね」
素敵な手本が一番傍に居たからね。そして土井先生、やっぱり私は親にはなれなかったのか、とか、心の片隅で。
「で、先生が未だに学園長から忍務やらされるのって、先生が一番若くて、顔もまあ良くて、女装も違和感無くて、人当たりが良くて、変装もそれなりに出来て、そう云う意味では何処にでも潜入出来るからでしょう?」
勿論実力あっての話しだけれど。
「で、先生に在って俺に足りないものってなんか有ります?」
「…変装は」
「先生知らないんすかー?俺結構得意なんすよ?鉢屋先輩の一番弟子、とは言わないっすけどね、あの人に色々教えてもらったんで。あ、女装は立花先輩と三つ上のい組の先輩に。」
身に付けといて損はないでしょ、って頼み込んだんでしょう。
「…経験」
「其れは言っちゃあ駄目でしょう。先生だってそんな最初から経験豊富だった訳じゃあないでしょう?」
「…それはまあ、そうだが」
「でも心配しなくてだいじょーぶ。二年前はよく滝夜叉丸先輩と綾部先輩の忍務に連れて行ってもらったし、去年は伊賀崎先輩に何度も連れて行ってもらったし、今年は鉢屋先輩や立花先輩に色々連れ回してもらいましたから」
滝ちゃんて一人より守る相手が居た方が頑張れそうだよね。勿論綾部は守られるような存在じゃないけど。それでも一人より誰かが居た方がいい気がする。滝ちゃん自身の為にも。勿論綾部も、なんか自分に頓着無さそうだから、やっぱり滝ちゃんと一緒の方がいいだろうなあ。
伊賀崎は暗殺依頼が多そう。虫たちを虫遁術にはきっと使わないだろうから。陽動には使いそうだけど。きっと一人が多いんだろうなあ。きり丸に頼まれた時も邪魔しない事自分の身は自分で守る事足手纏いにならない事其の他守れるならいいよって連れて行ってあげてたらいい。
「鉢屋先輩」「ああ…はいはい、一緒に行くかい?」とかね、「今度立花先輩にでも口添えしといてやるよ、あの人なら実力もあるし、確かお前の事もそれなりに気に入っていた筈だから」とかね、鉢屋に対する無限大の妄想と幻想は膨らむばかりで止まるところを知らない。
「お前はまたそんな…」
「で、俺もまあこうしてそれなりに経験も積んでる訳ですし、先生は大人しく引退して教師一本。これ以上怪我されたら俺も気が気じゃないんで」
「そうは言ってもなあ…私だってお前を危険な目には合わせたくないし、それに学園長方だって何と言うか…」
「あーそれなら許可取ってます」
土井先生以外の先生と学園長は、土井先生の許可が降りればいいよ、と。まあ其処が一番の鬼門ですからね。
「お前も婚期を逃すぞ…」
「俺は別に…俺より美人なんてそう簡単には見つかりませんしね」
「それは言うなと…」
「ま、先生の老後の介護くらいなら俺がしてあげますよ」
「…だったらお前も長生きしてくれよ?」
長え。