金髪銀髪コラボ&アドリアーノさんのSSです。
アドリアーノさんと二人で絡ませるとこういうシリアステンションになってしまって
申し訳ない限りですが…こういうノリも好きです←こら
*attention*
金髪銀髪コラボ&アドリアーノさんのSSです
シリアスなお話です
リエンツィさんを恨むアドリアーノさんとアドリアーノさんが示唆する未来に怯えるリエンツィさん
…を書いてみたくて←おい
色々いれたい構図をいれてしまいました…
怯えてる美人さんが好きなのです…(ぇ)
クオとアドリアーノさんの感情は真逆なので絶対わかりあえないだろうな、と…←←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
晴れ渡る青空。
冷たい雪も今は止んでいて、風もあまりない。
寒いことに違いはないが、日差しは穏やかで少し寒さも和らいで感じた。
そんな、ある日の午後……
長い金髪の青年は外の薬草園に出てきていた。
なかでは医療部隊の草鹿の騎士たちがいる。
育った薬草を摘み、籠にいれていく。
金髪の青年……リエンツィもそれを手伝っていた。
手伝う、といっても細かいことはわからないため、
幼い騎士たちの籠を持ってやったり、摘むのを手伝ったりする程度ではあるが。
わいわいと賑やかな騎士たちを見守るリエンツィは穏やかに微笑んでいた。
元々妹が、弟がいた彼は幼い騎士たちの扱いも上手かったし、
穏やかな雰囲気の彼に騎士たちもなついていた。
そうして手伝ってくれる人間がいることは助かることらしく、
医療部隊長のジェイドも礼をいっていた。
いつも一緒にいる銀髪の青年も今は自分の任務で外に出ていっている。
その間にもリエンツィは自分に出来ることをしようと、
騎士たちの手伝いをしているのだ。
暫し、そうして仕事を手伝った後……
「リエンツィ、もう良いですよ。ありがとうございました」
「はい」
そのまま自分の部屋……
基一緒に寝起きしている銀髪の彼の部屋に戻ろうとしたとき。
不意に、小さく笑う声が聞こえた。
「良い身分だな」
その声に、リエンツィは固まる。
薬草園の傍の箱に腰かけている赤い髪の少年……アドリアーノの姿。
彼はゆっくりとリエンツィに歩み寄った。
リエンツィは後ずさるが……すぐに、建物の壁に追い詰められる。
そのままの体勢で、アドリアーノはリエンツィを見つめる。
正式に言えば睨む、か。
「いい身分だな。護民官?」
皮肉るようなその口調にリエンツィは深青緑の瞳を泳がせる。
そして、震える声でいった。
「っ、……何が、言いたいのですか」
「は?言いたいことはお前が一番よくわかってるだろ」
低い、低い声でアドリアーノは言う。
武器は持っていない、なにもされないはずだとわかっているけれど……
それでも、彼の刺すような視線には気づいている。
今この場に武器があったとしたら、間違いなく刺されているだろう。
アドリアーノはじ、とリエンツィを見据えたままにいう。
「いつまで、そうして笑っていられるだろうな……
お前が、どういう人間かも知らないで」
アドリアーノとしては、気にくわないのだ。
自分の父親の死の原因である彼がこうして穏やかに生きていることが。
この国の騎士たちと笑顔で過ごしていることが。
ぐい、とアドリアーノはリエンツィの襟元を掴んだ。
顔を近づけて、低い声で……囁くように、何かに誓うように言う。
「俺は騙されない。
いつか、この国の人間だって気付く……
そうしたら、こうはいかないだろうな」
「……っ」
「"歴史"は、ひっくり返らない……俺は、絶対にお前を殺す」
今は無理でも、とアドリアーノは呟くように言う。
その言葉には、たしかな意志が込められていた。
リエンツィはその場から逃げ出した。
アドリアーノはそれを見送り、肩を竦める。
「イレギュラーで、挙げ句独裁者の殺人者の癖に、
穏やかに過ごしてることが間違いなんだ……」
小さく呟いた声は、青空に吸い込まれて消えた。
***
―― それから、数時間経って。
すっかり、日は落ちて周囲も暗くなる。
青空は夕焼け色に染まり、今は夜空が広がっている。
そんな時間に、銀髪の青年は城に戻ってきた。
そして、いつもならば食堂で待っていてくれる彼の姿がないことに気づき、
違和感と共に、ある胸騒ぎを感じた。
そして、周囲の騎士にちょっとした聞き込みをして……
自分がいなかった間に起きた、ちょっとした"揉め事"の話を聞いたのだ。
戻ってきた部屋のなかは真っ暗だった。
任務を終えて帰ってきたクオンは自分の部屋のドアを開けて、視線で彼の姿を探す。
元々夜に任務に出ることが多い彼は暗い場所でも目が利く。
彼の姿は、ベッドの上にあった。
蹲っている彼にそっと歩み寄って、クオンは声をかけた。
「……リエンツィ」
ごくごく弱い声で呼んだのに、びくっと彼の体が震える。
驚いたように見上げた深青緑の瞳は涙に濡れていた。
今まで此処で、一人で泣いていたのだろうか。
「……俺だよ、リエンツィ」
「クオン、さん……
任務、お疲れさまです……」
必死に強がって、笑おうとするリエンツィ。
リエンツィは知らないのだろう。
クオンが、昼間にアドリアーノと揉めていたらしいと聞いたこと。
「アドリアーノと、何かあったのか」
クオンは率直にそう訊ねた。
リエンツィはその言葉に体をこわばらせる。
「……草鹿の騎士たちにきいた。薬草園のところで喧嘩してたっぽい、って。
でも、喧嘩じゃあないだろ……何を言われたんだ?」
「っ、……」
リエンツィは無言でクオンの服にしがみつく。
そのまま、ふるふると首を振る。
話したくない?と訊ねるクオンに、リエンツィは小さく頷いた。
話したくない、というよりは……考えたくなかった。
先程のアドリアーノの言葉。
いつか、この国の騎士も離れていくだろう、という言葉。
その時のことを考えると、怖かった。
本当に、離れていく?
"あのとき"と同じように……
この国の人たちも、自分に敵意を向けるのだろうか。
今目の前にいてくれる、この銀髪の彼も……?
「嫌……、」
小さく、息が漏れた。
震える泣き声。
嫌だ、嫌だ、と呟くように言う声。
「大丈夫。大丈夫だから……」
クオンは彼を抱き締めて、そっと背中を擦った。
アドリアーノとリエンツィの確執。
それは自分が口を出せる問題ではないと知っていたけれど……
このままにはしておけない。
そう思いながら、クオンはリエンツィを抱き締めて宥めるようになで続けていた。
***
リエンツィが泣きつかれて眠ってしまうと、クオンは部屋をそっと出た。
すでに外は静まり返っている。
そして、目立つ赤色の髪の青年姿を探した。
彼は食堂にいた。
部屋に入ってきたクオンを見て、彼はスッと目を細めた。
クオンの表情を見て、何を言われるのかは想像がついたのだろう。
クオンは席に座っている彼の前までいくと、静かな声でいった。
「アドリアーノ……お前か、リエンツィに余計なこといったのは。
……彼奴、泣いたまま寝てるんだけど」
「……俺は事実しかいってない。
何度いったらわかるんだ?彼奴は、独裁者なんだよ。
俺は最初からそういってんのに、彼奴を受け入れてる……
この国の人間はお人好しが多すぎるんだ」
アドリアーノは吐き捨てるように言う。
彼も、この国にとどまり続けている。
一応出会いかたが出会いかただったために、
リエンツィに危害を加えないようにと武器を取り上げられ、
監視に近い状況に置かれてはいるが、不自由はしていない。
アドリアーノはそれがお人好しだ、というのだ。
得たいの知れない世界からきた自分達をこうも容易に認めるなんて、と。
リエンツィは革命にかこつけて人々を殺めた殺人者だと言うのに、
自分はそう警告し、そんな彼に罰を与えようとしているだけなのに……
それを止めようとするお前たちが自分はわからない、と。
クオンはアドリアーノの言葉に首を振った。
そして、強い声で言う。
「俺はそうは思わない。
リエンツィがそういうことをするようにも思わない」
「だから騙されてるっていってんだよ。
俺がいってることは事実だ。
……いつ気付くか、見ものだな。彼奴の本性に」
アドリアーノはじ、とクオンの銀の瞳を見つめて、言う。
「絶対、そのうちお前も彼奴を見限りたくなる」
寧ろ、そうなってくれれば自分には好都合だ、とアドリアーノは思う。
彼を殺したいほど憎んでいる彼にとって何が邪魔かと言えば、
彼を守ろうとするこの銀髪の青年が邪魔なのだ。
戦闘能力ははじめて戦った時によくわかっている。
挙げ句、彼らにはない魔術と言う能力が彼を、
アドリアーノが倒すことは出来ないだろう。
しかし、クオンは小さく笑って、彼にいった。
「絶対にない、とだけ宣言してやる。周り全部が敵になったって俺が守る」
「……なかなかかっこいいこと言うんだな。
勝手に、いってればいい。俺も、勝手に動くぞ」
「勝手は許さないから、そのつもりでいろよ。
リエンツィに危害を加えるようなら、俺も容赦はしない」
そう宣言して、クオンは服の内に忍ばせた短剣を抜いて、彼の方へ向けた。
アドリアーノは指して怯んだ様子なくそれを見つめると、
肩を竦めて、席をたった。
「アンタと俺は一生わかり会えないだろうな。
あんたが、彼奴を庇ううちは、絶対に」
「わかりあえなくて結構だ……
自分の大切な人間を傷つけようとする人間と親しくなりたいと思うほど、
俺はお人好しじゃない」
クオンはそういうと剣をしまって、アドリアーノに背を向けた。
アドリアーノはその背中を見送る。
静かな、夜のなか。
視線こそ絡めど、二人の感情は絡まない……
―― 絡まぬ想い ――
(彼を殺めたい 彼を守りたい
絶対に絡まない二つの想いは……――)
(涙を溢し眠る金髪の彼。
彼を待ち受ける運命の結末は喜劇か、悲劇か……)