きょうは暑かったー。
明日は雨が降るんですね。洗髪するから午前帰りだけど勘弁していただきたいなぁ。
帰り道にふっと思いついたもの。
久々に双子ねた。
追記から。
遅くなっちゃったな、と空を見上げながら考える。
まぁ仕方ないけど。学校は遠くは無いけど近くも無い。少し寄り道しちゃったら、余裕でこれくらいの時間になる。
最近生ぬるくなってきた空気が喉の奥にぺたりと張り付く。そろそろ上着が暑くて邪魔だ。
「竜ー」
「霊」
年の離れていない妹の声が聞こえたので、振り返って霊雨が近づいてくるのを待つ。
「お帰り」
「ただいま。って、まだ家じゃないよ」
「そうだけど、なんか気分的に」
「まぁ、もうすぐだけどね」
並んで歩くけど、視界の端で動く霊の銀色の髪に少し目線を取られる。
私の黒髪とは全く違う。
「どしたの、竜?」
「ん、いや。暑いなーって」
「暑いかな?ちょっとぬるいくらいじゃない?」
「そかな」
「うん、そうだよ」
「なんか、息苦しくない?」
「そうだね」
「どっかに行きたい、な」
「どこに?」
「…どこか、遠く」
不意に、遠くに行きたくなるのはなんでだろうとぼんやり考えながら、呟く。
別に不満がある訳じゃ、ないのにな。
「そっか」
「ああ、うん」
「じゃあ、今度行こうね」
「…だな」
「桜とか、お母様とか、一緒に」
「…そういえば、桜迎えにくるって言ってたんだけど遅いな」
「…酒盛り、してそうだね」
「いい大人が何してるんだか…」
「でも」
「「楽しいからあり?」」
思わずハモってしまい、笑いが零れる。
二人で笑いながら歩いていると、前からからりころりと下駄の音が響いた。
「おう、お帰り」
「じいちゃん」
「おじいちゃん、ただいま」
「二人とも遅かったな。早く家に戻ろうや」
じいちゃんはいつものようにニヤリと笑うと、私たちに向かって手招きをした。
「どうしてじいちゃんが?」
「ま、色々あってなぁ。ほれ、霊雨も竜も早よ来い」
「…うん」
「はーい」
じいちゃんと霊と並んで歩くのはいつぶりだろう、なんて考えながら夜道を行く。
たまにはこういう方が、落ち着く。