聞きました?
今日は、マギーが住んでいる所は38℃に。
明日は39℃にまで上がるそうですよ。
沸騰した血液が蒸発するかも。
マギーの周りでは、夏祭の話題で既に沸騰しています。
有名な大きなお祭も良いけど、町内の盆踊も良いですよね。
小さい頃には、日が暮れるとお風呂に入って、浴衣を着せて貰い、
団扇を手に、下駄で出掛けたものです。
こんな大人になっても下駄や草履が大好きで、
先日も、足袋の様に指先が別れているソックスに、草履で作業所へ。
おしゃれでそうした訳じゃなく、マギーの足指の感覚の所為ですけれど。
車で送迎していただけるのと、マギーの足腰の状態を知っていてくれるから、
最近は滅多に履くことのなかった近所を散歩するのに履く草履、
黒に白の水玉模様のさらさら生地のゆったりトップと薄黄色のスリムパンツで。
ダサイ格好を黙ってゆるして下さって有り難うございました。
“for a song”
1曲の歌に支払われるのは日本語でなら「二束三文」ですって。
これ、草鞋のことだったんですね。
隠元が教えてくれました。
そう言えば、マギーが20代で知り合ったカナダ人の女性、
トイレも和式で、隙間風入る障子の古い家を借り、むちゃくちゃ日本贔屓でしたね。
ジーンズに草鞋履きで表れた時には、皆がびっくりしました。
でも、とても似合っていたそうですよ。
帰国する時、彼女が大事にしていた驢馬の縫いぐるみをくれました。
涎掛けをしている驢馬は何処か剽軽な顔でした。
長い間、マギーは大事にしていたんだけど、あれは何処へ行っちゃったんだろうな。
早朝より風が出て来ました。
北側の窓に吊した風鈴が、適度に優しく鳴っています。
けれど、この部屋は相変わらず殆ど無風。
北よりの風は廊下を撫でているだけみたい。
ここも梅雨明けしたそうですね。
マギーの左腰から足先までは冬と同じです。
腰がふらつくのと、足指の4と5の感覚が疎いです。
歩く時に何かに引っ掛けない様しなくてはね。
両手を広げて何かに掴まり、まるでおばあちゃんみたい。
あ、おばあちゃんでした。
心は11歳の、妖精年齢300歳です。
生まれ変わったら本当の妖精になりたいな。
いつも言う水の妖精に。
数日前の予報じゃ、今日と明日は晴れ時々曇りだったけど。
5時過ぎに届いた天気予報メールじゃ、今日も明日も晴れですって。
部屋の窓を全開、サンドイッチと熱いコーヒーで朝食にしながらこれ書いています。
風は殆どありません。
それでも外の草が香るから、空気は微かながら動いているんでしょう。
雀と何か別の小鳥の声、たまにバイクか車の音がします。
こんな頃だったか、もう少し夏の気配が濃かった頃でしょうか。
早起きしたマギーを連れて、母が裏山に散歩に。
緑が深く、坂道を上る汗が心地良かったですね。
忘れられないのはピンク掛かったオレンジ色の朝日です。
大切な時間と思い出を母はいっぱいマギーにくれていたんですね。
遠からずマギーが全盲になるのを、医者から母は言い渡されていたんですね。
「大きなったら、お母ちゃんを恨むやろな」
「恨むって何?」
そんな会話したのはマギーが4歳くらいのとある日でした。
母さん、マギーは恨んでなんかないよ。
7時前から、ここはもう30℃。
ニャンコ計が、「暑い! 暑い!」と喚いていました。
風鈴はちりんとも言いません。
溜息みたいな風が、それでも肩をたまに撫でます。
機嫌良いのは雀だけみたい。
11時になりました。
少し早いけど、サンドイッチとコーヒーで昼食中。
風鈴が忘れた頃に歌います。
けど、この部屋の空気は留まったままです。
北側の洗面所にだけ風らしき流れがあるんでしょう。
16時。
暑さのピークを越えたみたいですね。
風鈴が鳴り、風が家を渡ります。
この風、涼しいとまでは行かないけれどね。
さっきまで読書して、短い昼寝して、独りを満喫しています。
独りは淋しくないかと訊く人がいます。
電話で、辛かった若い頃の日々を話しする人がいます。
独りの時間を持て余し、毎日ヘルパーさんと買い物に出る人もいます。
他人からは贅沢に見える暮らしでも、その人は満足できません。
他人と比べるからですよ。
そう言う域を脱したら、あなたにもマギーの言葉が伝わるでしょう。
当事者の話をただ黙って聴いているマギーは、
ひょっとしたらただの無責任さんなのかもね。