……………



ベルにゃん と さな は
ももか と すもも を山頂(さんちょう)にある 屋根のある自宅(じたく)に招(まね)き入れました………



「お帰りなさいませ……
ご主人さま…

ももか さま…すもも さま」



「ももか!すもも!
ようこそ わたしたちの家(いえ)に!!」



メイドのナナと ベルにゃん のパートナー さな が
3人を迎(むか)え入れます



「ただいまにゃ……

にゃにゃ……

さにゃ……」



「おじゃましま〜す
( ̄▽ ̄;)」



「一晩(ひとばん)…やっかいになるわ」



石造りの壁に木材のブロックが床を埋め 奥には左側の木の階段を登って二階に上(あ)がれるようです



「ひろいね〜
ヽ( ̄▽ ̄)ノ
すもも…」



「………!!

……間仕切(まじき)り壁(かべ)がないわ!

だから広く見える

つまり……大きな1部屋(ワンルーム)!!」



「うんうん
ベルにゃん家(ち)はすごいね〜

…………

……ベルにゃん?」



ももか が となりに居(い)たはずの ベルにゃん が
いないことに気付きました


「あっ! ももか
ベルにゃん なら
あそこだよ」


ももか の疑問(とい)に
さな が指差します……

入って右側の壁で暖炉(だんろ)が赤々(あかあか)と燃え 屋内(おくない)を暖(あたた)めています
その前には 四角い絨毯(チェックのカーペット)が敷(し)かれ
カラーブロックと白い長椅子(ソファー)が 周囲(まわ)りを囲(かこ)み
冷えた身体を暖(あたた)めながら談話(だんわ)できるようになっていました……

いま ベルにゃん は絨毯(カーペット)の上で 目を閉じ身体(からだ)を丸め
暖(だん)を取っていました
その頭のネコ耳が ときどき ピクリと動きます…
ももか達は ベルにゃん を囲(かこ)んで絨毯(カーペット)の上(うえ)に座りました………



「ベルにゃん ねた〜
( ̄▽ ̄;) 」



「わたしたちを前に しつれいね……

これだから魔物は………」


「すもも〜
ベルにゃん は寒いのが
苦手なんだよ

暖(あった)まったら
起きてくるから…」



さな がフォローします



「ベルにゃん って
ネコみたいだよね〜
(*´∇`*) 」



「う〜ん……

そうかな?

ベルにゃん は
ベルにゃん だよ」



「しょせん魔物……
かわりないわ……」



「ベ〜ルにゃん

( ̄∇ ̄*)ゞ なでなで…」


「ちょ……
ももか!
やめなさいよ!」



ももか が ベルにゃん の暗緑色(ダーク・グリーン)の髪を撫(な)で始めました


「……!!
うそ……ベルにゃんが
わたし以外に……」



さな が驚(おどろ)きます
ももか にたいして
ベルにゃん が
まったく警戒(けいかい)していないからです



「すもも も なでてみない?
気持ちいいよ〜

( ̄▽ ̄;) 」



「いやよ!
魔物を さわるなんて…」



「……それが ふつうの反応にゃ」



ベルにゃん の暗緑色(ダーク・グリーン)をした目が開(ひら)きました……



「ベルにゃん おきた〜
( ̄▽ ̄;)/ 」



「……あの〜

ご主人さま さな様(さま)

もうすぐ食事の準備ができます

……どう……しますか?」



遠慮(えんりょ)がちに
メイドのナナが聞いてきました



「そろそろ わたしの 合成 も 終わるよ〜」




………ふぁ〜〜〜



そうにゃ〜……


みにゃ 暖炉(だんろ)の前に
集まっているのにゃ……


ここで 夕食にするにゃ…」


欠伸(あくび)をひとつ
大きく伸びをすると
ベルにゃん が起き上がりました



「かしこまりました

こちらに お持ちします…」


メイドのナナが 台所(キッチン)に用意してあった
食器類を 暖炉前にテキパキと運びます



「ディナーセットの
合成が 終わったよ

取り出すね」



さな が錬金術合成空間から 絨毯(カーペット)の上(うえ)に4人分のディナーセットを並(なら)べます



「根菜(こんさい)のスープ
も ありますよ〜」



メイドのナナが 台所(キッチン)から運んできた鍋(なべ)を
絨毯(カーペット)の側(そば)に置いた鍋しきに載せ
蓋(ふた)を開けました

室内(あたり)に微(かす)かな香草(ハーブ)の香りが拡散(ひろ)がります

昆布と魔物の肉を煮込んだ鍋に
刻(きざ)んだ ジャガイモ ニンジン オニオン が中(なか)で踊っているのが見えました……



「みなさま……どうぞ」



メイドのナナ が飲み物をそれぞれの手にした 足つきグラス(ピルスナー)に
注(そそ)いで廻(まわ)ります



「!?
この 泡(あわ)のでる水
サクラの香(かお)りがする Σ( ̄□ ̄;) 」



「!!

………

これは……?」



「それは……

炭酸石とサクラの花を
入れた 水……です

ももか様が サクラが好きと さな様より聞いていたので………」



驚く ももか と すもも に
メイドのナナが説明します


「流石(さすが)はナナにゃ…」



「あ…ありがとうございます……」



ベルにゃん に誉(ほ)められて メイドのナナは照れたのか お盆を胸元で抱きしめています



「みんなに グラスが行き渡(わた)ったみたいだね

……ベルにゃん♪」



「それじゃあ……

乾杯にゃ」



「「「かんぱい!!」」」



さな に促(うなが)されて
ベルにゃん はグラスを掲(かか)げ 皆(みな)も それに続きました………



暖炉(だんろ)前の絨毯(カーペット)の上(うえ)に座(すわ)って
4人は食事を始めました



「みなさま……
おかわりも あります
どうぞ お申(もう)しつけください……」



メイドのナナが給持(きゅうじ)を務(つと)めます
談笑(だんしょう)しながら食事が続きます………


……………………………



「…………

それでね〜
ベルにゃん わたしたち王族に なったんだよ〜
( ̄▽ ̄;) 」



「共和国(マーロ)の リンドウ王と婚約でも したのかにゃ?」



「違うわよ!!

魔物神父と この国の大臣が起こそうとしたクーデターを
リンドウ王の目前(もくぜん)で 防(ふせ)いだからよ!!」



ベルにゃん の言葉に すもも が激(はげ)しく反論(はんろん)しました



「へぇ〜 そんなことが
あったんだ〜

国の危機(きき)を防ぐなんて
伝説の勇者みたいだね」



「にゃるほど それで王族に……

それで ももか達は王族として この国(マーロ)に留(とど)まるのかにゃ?」



「う〜んとね
( ̄▽ ̄;)
誘(さそ)われては いるんだけど……

いまは公国(シュリンガー)の ナギさんからの 依頼の途中だし……

このまま冒険者として旅を続けるよ
σ( ̄∇ ̄;) 」



「せっかく リンドウ王からここ(マーロ)に土地と居住許可を もらったのに……

ももかったら……」



「ここの王様
チャライけど

いい人だよね〜
( ̄∇ ̄*)ゞ 」



やがて食事も終わり
食後の お茶をメイドのナナが各自に注(つ)いで回ります
カップを満たしているのは香り高い緑茶でした………



「あの……
ご主人さま……

お風呂の用意ができました……」



メイドのナナが ベルにゃん の傍(そば)で囁(ささや)きます
給持(きゅうじ)の 合間(あいま)に お風呂(ふろ)に水を張(は)り 薪(まき)で沸(わ)かしていたのでした……



「ももか…すもも……
先に お風呂で温(あった)まってくると いいにゃ」



「うん ( ̄▽ ̄)
そうする」



「先に入るけど 覗(のぞ)かないでよ!」



「にゃ?

……………………

覗(のぞ)いてほしいのかにゃ?」



「そんなわけ ないでしょ!
バカ魔物〜〜!!」



「え〜〜
( ̄▽ ̄;)
ベルにゃん も 一緒(いっしょ)に 入ろうよ〜」



「ちょっと ももか!!」



「………………………


にゃ そういえば………

風呂桶(ふろおけ)は
3×3ブロックしか無いのにゃ……
一人(ひとり)づつ浸(つ)かる事を おすすめするのにゃ……」



「ちぇ… ( ̄∇ ̄*)ゞ 」



「ももか が先に入(はい)って……
わたしは その後(あと)に……」



「じゃあ すもも いっしょに はいろ
( ̄∇ ̄*) 」



「え? ちょっと……」



「 いいから 早く 早く
ヽ( ̄▽ ̄)ノ 」



すもも の手を ももか が引っ張ります



「お風呂(バスルーム)は
こちらです…」



メイドのナナが パーティション二枚で目隠(めかく)しされた 屋内(おくない) 左奥(ひだりおく)へ 二人を案内します



「わたしたちは 後片付けだね♪」



「ももか達が 上(あ)がってくる前に おわらせるにゃ…」



「すご〜い (m'□'m)

窓から サクラが見える!」


「……ももか!

ちゃんと肩まで 浸(つ)かって!!」



「…………

ももか様 すもも様……

湯かげんは よろしいですか〜〜」



お風呂場(バスルーム)から にぎやかな声が聞こえてきます…………



ベルにゃん と さな は
積み重ねた皿やグラスを 外の水汲(みずく)み場まで運び 洗い始めました

近くに立つ背の高い街路灯(がいろとう)が
昼間取り込んだ太陽の光を 中に設置(おさ)められた夜光石(やこうせき)を通して庭を照らしています

夜空を覆(おお)う無数の星明かりと庭に立つ1本の街灯の光が 皿を洗う二人を静かに見守っていました………………



「ねぇ ベルにゃん…

ももか の言っていた公国(シュリンガー)のナギさんって……
いま行方不明になっているドレイク王の代理だよね?」



ベルにゃん と洗い物をしながら さな が聞いてきます



「そうにゃ
ニャギは
公国(シュリンガー)メイド隊のリーダーにゃ……」



「そんな 偉いひとから依頼を受けるなんて…

ももか すごい!!」



「………………

そのことにゃ………

ももか達に対(たい)して
一国(いっこく)の代表としての依頼にゃのか……

ニャギ個人の依頼にゃのか……

……………

その依頼の途中で にゃぜ
共和国(マーロ)に………」


ベルにゃん は難(むずか)しい顔をして洗い物をしています……



「きっと ももか達に とって必要なことが あったんだよ!


…………わからないけど」


「にゃにか………

大変(たいへん)な事に 巻き込まれて いにゃければ ……にゃ……」



「ももか達なら だいじょうぶだよ きっと……

それに
ももか達が困(こま)っていたら……

ベルにゃん は たすけるんでしょ?」



「もちろんにゃ

親友(とも)は見捨(みす)てにゃいのにゃ……」



「うん!

もしもの時は ももか達 ぜったい
たすけよ」



「もちろんにゃ」



話しているうちに洗い物が片付(かたづ)いたようです


「おわったね

もどろう?」



「ワタシ達も お風呂で
温(あった)まるにゃ……」


「うん♪」



ベルにゃん と さな は
水汲(みずく)み場を 後(あと)に 屋内へ戻って行きました………………





魔物のベルにゃん そのいち… お正月 〜後編の2〜おわり 〜後編の3〜へ続きます…………