………………



洗い物を終えた ベルにゃん と さな は屋敷内(おくない)へ戻(もど)って来ました………

ももか と すもも は お風呂が終わったらしく メイドのナナに案内されたのでしょう
二階の客間で くつろいでいるようです……



「ももか! すもも! ナナ(にゃにゃ)!
さにゃ とお風呂行ってくるにゃ!」



ベルにゃん が二階に呼びかけます



「行ってらしゃ〜い
ヽ( ̄▽ ̄) 」



浴衣(ユカタ)に着替えた
ももか が二階から手を振(ふ)ります
すもも は客間に置いてある炬燵(コタツ)に入っているのか一階から姿は見えませんでした……



「ご主人さま
いま 参(まい)ります…」



二階から メイドのナナが
木の階段を降りて来ました………
外で お風呂の薪(まき)を くべる為です


ベルにゃん と さな は 一階の奥
パーティションで目隠(めかく)しされた お風呂場(バスルーム)に入って行きました……………



二階には 四角い絨毯(チェックのカーペット)が敷(し)いてあり その上に炬燵(コタツ)と座布団(ザブトン)が置かれ 客間(きゃくま)として使われていました



「すもも〜

ベルにゃん家(ち) おちつくよね〜 ( ̄∇ ̄*) 」



「それは 同意(どうい)するけど………」



ももか と すもも は浴衣姿(ゆかたすがた)で炬燵(コタツ)に入(はい)っています
コタツの上(うえ)には
ザルの中で ミカンが橙(オレンジ)色に輝(かがや)き食欲をそそります………



「ねぇ すもも〜
ベルにゃん家(ココ)に
住(す)んじゃおうか
( ̄▽ ̄;) 」



「ダメに決まってるじゃない!」



「ちぇ…… ( ̄O ̄)

言ってみただけだよ〜

…………

それより………
コタツで食べるミカンは
おいしいね σ( ̄∇ ̄;) 」


「うん……そうだね……

…………………

……………………

なりゆきで ココに泊(と)まることになったけど………

あしたは“アブル連邦″に向(む)かうんだから

ももか! 早く寝ないと
ダメだよ」



「う〜ん……

もう少し起きてる
( ̄▽ ̄;)

……………………

そういえば
マーロ共和国(ココ)の王さま から
もらった親書(しんしょ)……だっけ?

連邦(アブル)に行く目的
( ・◇・)?」



「そう その親書を連邦(アブル)のジョージ王に見せて………

それから
魔王国(クリシュナ)に
向かうんでしょ?」



「うん そうだった……
( ̄▽ ̄;) 」



「ももか……

わたし なんだか不安なの……

このまま進んで だいじょうぶなのかな?って……

ももか のことは もちろん わたしが守るよ

でも………

…………………」



「だいじょうぶ

ももか は
すもも と ずっといっしょにいるよ………」

“…モギュ……″


後(うし)ろから すもも をももか は抱(だ)きしめました




「ももか?

………………」



「………こうすると
おちつくよね

すもも……」



「うん…………

……………………

………………………

もう だいじょうぶだから………

先に寝るね

ももか も早く休んでね…」


「わかった〜 ( ̄∇ ̄*)ゞ 」



コタツの置いてある客間から
1ブロック 木の階段を登ると寝室になっていました……
事前(じぜん)にメイドのナナから案内されていた
来客用シングルベッドが
手前に2つあり 壁側のベッドを すもも は使うようです

ベッドに 入った すもも
は そのまま深い眠りに落ちていきました…………



「…………すもも には
“だいじょうぶ″って
言ったけど………

ももか は 七曜術士 のままで いいのかな?

べつの職業(ジョブ)に転職(つか)なくても いいのかな?

………………」



コタツに残った ももか は
静けさの中(なか) いま 就(つ)いている職業(ジョブ)について
考えを巡(めぐ)らせていました………
いまの自分の つよさに
不安を感じていたのです



“ギッ・ギッ・ギッ…………“

木の階段を登ってくる
音が聞こえます………



「ベルにゃん?
( ̄□|||| ) 」



「………?

ももか……どうかしたのかにゃ?」



「ももか まだ起きてる〜♪」



階段のほうから ふたりの声と共(とも)に姿が見えました



「ベルにゃん おそ〜い
( ̄ο ̄;)/ 」



「つい 長風呂(ながぶろ)に
なってしまたにゃ……」



「ベルにゃん お風呂の中(なか)で 寝ちゃ ダメだよ〜」



「温(あった)かい と
眠(ねむ)くなるのにゃ……」



「ベルにゃん たちも
浴衣(ゆかた)なんだ〜
( ̄∇ ̄*)ゞ 」



「ももか が着てるのが
階下(した)から 見えたから わたしたちも
着てみたんだよ〜」



ももか が着ているピンク色の浴衣(ゆかた)【彩】に対(たい)して
さな は紺色の【静】
ベルにゃん は黄色の【愉】

でした…………



「ふぁ〜〜……


わたしも眠くなってきちゃた………

さきに 寝るね……

ももか おやすみ〜」



「さな おやすみ〜
(≧∇≦)/ 」



「ベルにゃん も 早く寝てね」



「さにゃ おやすみにゃ…
よい夢を…にゃ…」



かわいい あくびをすると
さな は 1ブロックある木の階段を登り 寝室の奥に置いてあるダブルベッドに向かいました
そこで ベルにゃん とふたりで寝ているのです………


ベルにゃん は ももか の入っている コタツに 向かい合わせに座りました

天井の梁(はり)から提(さ)げられたシャンデリア……それに差し込まれた 夜光石(やこうせき)の放出(はな)つ光りも弱々(よわよわ)しくなってきました………



………………………

……………………………



「………ベルにゃん

サクラがキレイだね 」



「そうにゃ

二階(ここ)からも 窓越(まどご)しに 見えるにゃ……」



「うん………

ももか もっと近(ちか)くで見(み)たい……」



「………今(いま)から庭(にわ)に 出てみるかにゃ?」



「うん!

ベルにゃん 行(い)こう」



ふたりは コタツを出ると
ベルにゃん に続いて ももか も壁ぎわに設置(しつら)えた木の階段を降(お)りてサクラの見える 出入り口に向(む)かいます

出入り口(げんかん)の天井(てんじょう)からの 吊(つ)り下げランプ……
そこに 嵌(は)め込まれた白黄色の夜光石(やこうせき)が 足元(あしもと)を照(て)らし
暗い屋外(そと)と 薄明(うすあか)るい室内(なか)との境界(さかいめ)を
ぼんやりと
表示(しめ)していました………


外の暗がりのなか
見上げると 天を無数の星ぼしが覆(おお)い尽くしています
目の前に植(う)えられた
サクラ………
その花のピンクが際立(きわだ)ち 微(かす)かに香りが漂(ただよ)って来ます…………



「やっぱり キレイだね
サクラ………
(*^ー^)ノ 」



「気に入ってくれて
なによりにゃ

ももか……」



「うん

夜のサクラ〜〜
( ̄∇ ̄*)ゞ

花見酒(はなみざけ)だ〜

O(≧∇≦)O 」



「にゃ?

一杯(いっぱい) 呑み(やり)たいのかにゃ?」



「うぅうん…
(*´∇`*)

ももか お酒は よわいの
( ̄∇ ̄*)ゞ 」



「それは 残念にゃ……

向こうで 夜ザクラを見ながら お茶にするかにゃ?」


ベルにゃん と ももか は話ながら庭の奥へ進みます
そこにも サクラが三本ありました
その根元(ねもと)には 赤い布が掛(か)けられた低い木の長椅子……縁台(えんだい)が2つ置かれ
四角い絨毯(チェックのカーペット)も敷(し)いてあります………



「さっき 案内され(み)たところだ!
(*´∀`)ノ

……あの青いのナニ?
さっきは なかったよ
('_'?) 」



到着すると
敷いてあるチェックのカーペット そのまん中に
青く丸いモノが置いてあるのが見えました



「あれは……
火鉢(ヒバチ)にゃ……
近くに居(い)ると暖(あった)かいのにゃ

あの上で お湯も沸(わ)かせる 優(すぐ)れものにゃ……」



「ふぅ〜ん
( ̄∇ ̄*)

もしかして メイドさん?」



「そうにゃ
メイドの にゃにゃ が置いてくれたのにゃ

木炭(すみ)の 火もおこしてあるにゃ……」



青い火鉢の中 積(つ)もった白い灰の上 黒い木炭が 赤橙色に染(そ)まり
周囲(あたり)に熱(ねつ)を放出(はなっ)ています

三本足の黒い五徳(なべおき)の上 黒い鉄瓶(てつびん)が木炭(すみ)の放(はな)つ赤い熱を受け 白い湯気を上(あ)げていました………



「いま お茶を煎(い)れるにゃ

ももか も座ると いいにゃ……」



「は〜い
( ̄▽ ̄)ゞ 」



ふたりは 火鉢を囲んで座りました……



「……サクラ茶…で いいかにゃ?」



「そんな お茶があるの?
(; ̄ο ̄) 」



「塩漬けしたサクラの花に お湯を注(そそ)いで 頂(いただ)く のにゃ……

最初(はじめ)に ぬるま湯で塩ぬき するのがコツにゃ……」



話ながら ベルにゃん は
手早(てばや)く サクラ茶の準備を済(す)ませます



「 ももか…

召(め)し上がれ……にゃ」



ベルにゃんの黄色いユカタの袖口(そでぐち)から覗(のぞ)く褐色(かっしょく)の手が
口(くち)の広い 白い茶碗を
そっと ピンクのユカタを着た ももか の膝元(ひざもと)に 置きました……



「お〜 ( ̄ロ ̄;)

これが サクラ茶…」



茶碗の中に サクラの花
一輪(いちりん)
澄(す)んだお湯の中に沈(しず)んでいます…………



「サクラの花を よく見ているのにゃ……」



「 (・_・?) わかった」



ももか は茶碗の中を注視(ちゅうし)しました



「!! Σ( ̄□ ̄;) 」



なんと 透明(とうめい)なお湯の中
閉じていた花弁(はなびら)が ゆっくりと開いていきます…………

ピンク色の花が 白い茶碗の中 開(ひら)ききるとサクラの芳香(かお)りが
立ち上(のぼ)る白い湯気(ゆげ)の中
周囲(まわり)に拡散(ひろ)がっていきました…………


「ベルにゃん ベルにゃん

花が咲いた Σ( ̄□ ̄;) 」


「そうにゃ……
遠い東の海に浮かぶ島国に伝(つた)わる おめでたい席に出される お茶にゃ……


ももか…花は食べにゃいのにゃ」



「えっ? ( ̄ロ ̄;)

食べないの?」



「縁台の上に 団子(ダンゴ)があるにゃ……
それを食べるといいにゃ…」



赤い布を掛(か)けた縁台(えんだい)の上(うえ) 串に刺(さ)した三色団子が四角い皿に載(の)せてありました



「ピンク〜 しろ〜 みどり〜

ん〜 お団子(ダンゴ)
(o⌒∇⌒o) おいし〜い」


「それは よかったにゃ……」



湯呑みに 緑茶を注ぐ
ベルにゃん の顔が
微笑(にこやか)になります


「ベルにゃん 笑った〜
( ̄∇ ̄*) 」



「にゃ………

…………うれしいのにゃ

こうして
自宅(いえ)に他人(ひと)を迎(むか)え入れ もてなし 話す そのことがにゃ………」



「そっか

あのね ベルにゃん
ももか も 王さまに土地をもらったよ〜
σ( ̄∇ ̄;) 」



「それは おめでとにゃ…

あこがれの家(マイホーム)……ついに建てるのかにゃ?」



「ありがとー ( ̄∇ ̄*)ゞ
家(いえ)を建てるのって
むずかしいね (^_^;)

ベルにゃん みたいに すごい お家(うち)は ももか にはムリだよ〜 (´Д⊂) 」



「もともと 建ってた家を改築(かいちく)した だけにゃ……

ワタシも いちから建てるのは無理にゃ……」



「そっか ( ̄▽ ̄;)

ベルにゃん ベルにゃん

また ここに来ても いい?
( ̄∇ ̄*)ゞ 」



「いつでも いいのにゃ
……
さにゃ も ワタシも来てくれると嬉(うれ)しいにゃ…」



「あい ( ̄ο ̄)丿

ももか も ベルにゃん と おはなし できて うれしい ( ̄▽ ̄;) 」



…………………

………………………

ふたりの 夜は更(ふ)けていきました……………


魔物のベルにゃん そのいち… お正月 〜後編の3〜後編の4へ続きます……