ある冒険者のひとりごと…4 連邦城塞都市にて 後編

前回のひとりごとから…

怪しい気配に振り返った

ワタシは…

ありえないモノを見て

きをうしなってしまった

………




……

「…キミ ……キミ……
……キミッ!!」


……
………

…パートナーの声が聞こえる……

目の前に パートナーの顔が 見える…

「……ワタシは?」

混濁した意識が
はっきりしてくる…

頭の下に柔らかい感触を
感じる……

……あぁ
…パートナーが ひざ枕をしているのか……

不思議な安堵感を
感じつつ

パートナーに疑問を問いかけた


「…どうして
…こんな状況に?」


「…もうっ たいへんだったんだから!!」

「とつぜん さけんで
ばったり倒れるんだから 」

「ここまで 運ぶの
たいへん だったんだから!!」


………


「…何か 見なかったか?」

「えっ? なにか あったの?……」


「…いや 別に いい……」

…あの化け物を見たのは
ワタシだけ らしい……

なぜ? ワタシだけに?…
疑問が持ち上がる……

ワタシだけ平行世界へ
移動したのだろうか?…

しかし 確かに パートナーは 後ろにいた…

…いや あれは 本当に
ワタシの
パートナーだったのか?


「それにしても キミ
かわいい 悲鳴を あげるんだね
おどろいちゃた」

… /// /// ……!!

ワタシは 途端に
恥ずかしくなり

思わず顔を両手で覆った

「…いや ……見ないで…」

「キミも女の子なんだからむずかしいことばかり
言ってないで
そういうとこ
もっと だしていった方がいいと思うよ…」

その言葉に ワタシは
いつもの落ち着きを
取り戻し…

「…今さら そんな事は
出来ない…」

「あいかわらず キミは
かたいんだから…」


パートナーの不満を
聞き流しながら…


迷っていた“カカオ村”に行く 決意をした…

行けば 今回の件 何か
解るかもしれない…
わからないかも知れない

「ワタシは つくづく
知りたがり なのだな…」
自嘲気味につぶやいた…


「えっ? なにか 言った? …」

パートナーが覗きこむ

「…いや 何でもない」

パートナーのひざ枕から
立ち上がりながら
ワタシは 答える…

少し 名残惜しい気もするが ワタシの行くという
決断に迷いは無い…


「…カカオ村に向かおう」

ワタシは はっきりと決断した………

ある冒険者のひとりごと…4 連邦城塞都市にて 前編

前回のひとりごとから…

戦士に転職した ワタシは
連邦酒場から一歩踏み出すと…
城内都市の あちこち から…
悲鳴が聞こえてきた…




ご存じの通り アブル連邦 首都は城の中にあり
魔物の侵入は難しい…
逆に侵入されてしまうと
城内に暮らす人々に
逃げ場は ない……

しかし城内には
“炎の洞窟”と呼ばれる
場所がある
…そこから 魔物が
あふれでた……
のか?

ワタシは いつでも
戦えるように
慎重に 歩を進めた……



積んである木箱に
身を隠し
パートナーには
ワタシの後ろを警戒するよう指示を出し

遮蔽物の かげから
近くの悲鳴のする方向へ
そっと顔をのぞかせる…



なんだ あれは…?





ソコには 悪夢のような
光景が ひろがっていた…


君は 普段 見慣れたものが見えなくなったら
どうするだろうか?……

眼前にあるのは
まさに そういう事だった……

冒険者の上半身が
宙に浮き

往来を漂っている…


右往左往するもの…

泣き叫ぶもの…

神を罵るもの…

………等々

そこは 大混乱していた…

ワタシは吐き気をこらえながら
観察を続けた…

どうやら冒険者 全員が
この症状を 起こしているわけでは ないらしい…

初めて見る 装備を着けている者がいる…


“…近々 カカオの産地で祭りがある…

選ばれた者だけが
身に付けられる装備が
あるらしい…

それを纏うと 祭りのなかで有利になれる…”

………等々


たしか…
城内に立っている掲示板
に 書かれていた…
そのことを ワタシは思い出していた……


“祭り”と
何か 関係が?……



背後の気配に 何か…

ワタシは背後にいるはずのパートナーに呼びかけながら
振りむいた………


ソコには 生首!?
が浮いて……………


ワタシは あられもない
悲鳴!!をあげ………



……………


………きをうしなった



ある冒険者のひとりごと…3 戦士に転職……

前回のひとりごとから…

騎士として生きることに
自信を持てなくなった
ワタシは…

またしても転職することに……




「次は何に なりたい?…」
パートナーが聞いてくる…

呆れているのか
諦めているのか…

こんな ワタシでも
いつもの口調で
話しかけてくる……

「キミに向いている 職業 きっと見つかるよ!」


パートナーのひとことが
耳にイタイ…

職業に就かなければ
Z(ゼル)が手に入らない
パートナーともども
飢え死にだ……
…?
冒険者は飢えて死ぬのか?神の加護は飢死 にも発現するのだろうか?
町の中では加護は発現しない…
では 町の外では?…

興味深い疑問だが
パートナーを巻き込んで
疑問の答えを 得るわけにはいかない
飢えに苦しむ パートナーなど
…ワタシは 見たくない



…ワタシがいつものごとく
物思いにふけっていると…



「心機一転 頑張ろう」

パートナーの声が
ワタシを現実に 引き戻した……



……ワタシは
………戦士に
…………転職していた




「新しいスキルを覚えたよ」
……
頭上で鳴り響く 鐘の音を聞きながら
ぼんやりとパートナーの声を聞いていた


「なんだ コレは……」


「キミが これでいいって
言ったんだよ?」

「何も考えずに剣を振るえる戦士で いいじゃない!」
パートナーは ワタシを
説得し始めた…

…そういえば
戦士の説明を聞いているとき…

考え事を始め…
生返事をしていた
……らしい


業を煮やした
パートナーが さっさと
決めてしまった……


というのが真相らしい

……

転職したばかりで
職を変えるのも
相手にとっても失礼

パートナーの助言にも
一理ある


何も考えず 剣を振るのも 悪くない…

こう思い直し

ワタシは 戦士になること を了承した


そして 酒場から戦士としての第一歩を踏み出した時

……

城内に悲鳴が なり響いていた…………

ある冒険者のひとりごと……2 騎士として 終章

前回のひとりごとから…

若い拳闘士たちの後を追い戦闘に参加した…


おせっかいかもしれない

……だけど

放っておけなかったから…




何度か ふたりの戦闘に参加したのち

彼女から声をかけてきた…
「Lv上げですか?」


また やってしまった……
相手に断りもなく無言で
戦闘に参加し続けていたのだ……


「…ただの」

('_'?)

「おせっかいです…」

他人(ヒト)と会話しなれて
いない ワタシに返せた
言葉は
……これだけ だった
と思う

他人(ヒト)から声をかけられた事がなかったから……

かなり 焦っていた
自分が なんて返したか
よく覚えていない……


彼女は

「助かります」

と答えた…

…嬉しかった
たとえ ソレが社交辞令
だったとしても…

それから 彼女達の戦闘に 何度か参加すると…


「フレになりませんか?」

彼女から 声がかかった…

……?

話すことに慣れていない
ワタシは どう答えようか と足を止め考え込んでしまった…

「……いいですよ」

顔をあげ やっと答えたときは……

彼女らは次の魔物を
求め
……走り去ったあとだった


ワタシは……
騎士として……
いや ヒトとしても
……ダメなのでは?


仕えるべき主人も見つけられず
騎士としての生き方に
自信を持てなくなった
ワタシは……



……転職することにした



…………騎士(ナイト)として…… ー終わりー

ある冒険者のひとりごと……2 騎士として 其の6

前回のひとりごとから…

見ず知らずの冒険者の戦闘に
ワタシは飛び込んだ……

……?

何んだろう…この近視感は…………





…悪い予感は的中した

転職したて なのだろう…
装備から 察するに
拳闘士…

パートナー共々
命の残り火が半分を切ろうとしている…

戦闘に参加している冒険者の 命の残りが視(み)える事も
神の加護の……
ひとつかも知れない


回復スキルを今はつけていない…

両手剣“エアリースチールブレイド”を振るい…
魔法を発動させ……

オーク1体 ゴマミ2体を
難なく倒す……


魔物たちの 命の残りは
ざっと視(み)
2/3は残っていた気がする……


誰も死なせることなく
戦闘は終わった……

しかし若い拳闘士たちは
次の魔物を見つけるや
走り去った……


ワタシは 放っておけなかった……

今回は通りかかったワタシが 気まぐれに戦闘に参加したから 死なずに済んだ
次の戦闘でも生き残れる
だろうか?……


ワタシは彼女達の後を追い次の戦闘に参加した………


……ふたりを放っておけなかったから……

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