……悔いと祈りと許しを……




ワタシ達 冒険者とは 魔物と戦い いずれ魔王を倒す……
それは 正しいのか?


無論魔物は倒し続けなければならない
不死のうえ繁殖し数が増えるからだ……
たとえそれが一時しのぎ
だとしても……


………しかし………

ワタシは 考え続けた……


その事について深く考えさせられたのは
リンゴ収穫祭の時だった……


魔物の魔力の源であり生きるために必要なリンゴ……
それを ワタシ達冒険者は強奪した……
報酬目的のため……

リンゴを守る魔物の長(おさ)は懇願(こんがん)した…我らの命の源をこれ以上奪わないでくれ…と



その願いは聞きとげられることなく リンゴは奪い尽くされた……
冒険者の欲望のままに……


ワタシは祭りの終わりと共に 自分が何をしていたか気付き ひどく後悔した……


……ワタシは……司祭……だった…それ…なのに…相手が……魔物…だから……倒し…続け…た………?
…その…魔物に……
マーロ…共和国で……助けられた…のに…?

………ワタシは………


愚(おろ)かだっ!………



いいようのない悔いが杭(クイ)となって
ココロに深く深く 刺さった……

この痛みは消えることは無いだろう……






ある時 ワタシは ボンドメンバーの自宅を訪れる機会を得た……

自宅の改築(ハウジング)も一段落ついた頃だった…



そのメンバーの自宅は部屋数も多く それぞれ趣向を凝(こ)らしたモノだった…
その中の1つに気になる場所があった……

そこは墓所だと説明を受けた…

かつての友(メンバー)をしのぶ場だと……

其所(そこ)には立派なオブジェが並んでいた……



そうか……そうすれば……いいのか……

ワタシのココロに一筋の光が みえた……



ボンメンに自宅に招待してくれた礼を述(の)べた後


ワタシは増設(ハウジング)に取りかかった………



ヒトは愚かだと笑うだろう……
魔物の為の墓所を造る(ハウジング)など……


ワタシの自己満足の産物でもいい……
ワタシのココロがやすらぐのなら………

魔物の為に ワタシは墓所(ココ)で 祈りを捧げ続けるだろう……


……許しを乞うワタシを
ワタシが許すまで……




ある冒険者のひとりごと……19 マイホーム その4〜悔いと祈りと許しを〜 〜終わり〜
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