ワタシ達は偶然にも
“彼”元ボンドマスターに再会したのだった………



ch(チャンネル)を切り替えワタシ達は ワタシ達しかいない平行世界へ移動した………



「前にも、ありましたね
こんなこと………」


「……あぁ そなたと初めて会った時だ……」


「……一本、どうです?」


彼の手にはタバコの小箱があった……


「……いただこう」


一本の火縄から二人はタバコに火を移す……


互いに無言で一口吸って煙を吐き出す……




「……何か あったのか?」

「いえいえ。」


「そうか……ならば なぜボンドを辞めた?
その理由(わけ)が知りたい」



彼はタバコを一口吸うと
話し始める……

「貴女(あなた)方の力添えで、あのボンドはじゅうぶんに育ちました。
これからは貴女がボンドマスターとしてボンドを育てていってください。」



「ちょっと待ってくれ
ワタシにボンマスは無理だ考え直してくれ…」


「貴女(あなた)には、じゅうぶんに資格がありますよ

会話の無かったボンドに
貴女(あなた)は挨拶を根付かせ、会話の糸口を作った」


「ワタシは ただ 当たり前の事をしただけ たいした事はしてない」


「今 このボンドが会話で満ちているのは そなたが 彼の少年を勧誘した おかげ
ワタシに人を観る目はない……」


「あの少年をサブリーダーに、私は推薦(すいせん)します。
二人で協力すれば、きっと上手くいきますよ。」


「………少し 考えさせてくれ…」


タバコから登る紫煙を見つめながら



「……そういえば
まだ聞いてなかったな
ボンドを辞めたあと どうしてる?」



彼は再びタバコを深く吸いゆっくりと煙を吐き出す


「……私は新たにボンドを設立し、そこのマスターをしています。」


「……やはり そうか プロフィールにボンド名があったからな……」


「私は、ボッチ冒険者を救いたいと考えて
今のボンドを立ち上げました。」



「前のボンドと掛け持ちは
考えなかったのか?」



「今のボンドは設立したばかりです。
こちらに集中したいのです。」



「そなたの決意は 理解したマスターの件 引き受けよう……

……いつでも戻って来て よいのだぞ
そなたの作ったボンド
そなたの故郷(ふるさと)だ…」



「はい、その時はマスターではなく、いちメンバーとして向かい入れてください。」


「……承知(わかった)
その時 ワタシはマスターとして
そなたを歓迎しよう……
だが そなたはワタシにとっては特別な存在だ
マイマスター……」



「自分勝手なお願いですが、引き受けていただきありがとうございます。
そちらのメンバーにも伝えてもらえますか?」



「…わかった 伝えよう……ところで そちらのメンバーは育っているのか?」



「はい、3人ほど……
雑談にも応じてくれますし狩りにも同行してくれます。」



「そうか……順調なようだな……
いつか そちらのボンドと 共同イベントなどが出来るといいな……」



「そうですね、いつか出来るといいですね……。」



二人のタバコは燃え尽きつつあった……



「………これから 何処(どこ)へ?」



「私のボンドを育てる為に…。」



「ワタシもボンドの為に…

また この世界の何処(どこ)かで……」



「ええ、またお会いしましょう、この世界の何処かで…。」




こうして二人はアブル連邦城塞都市入り口でそれぞれ別れた……


お互いのボンドを育てる為に……