ボンドマスターである“彼”が失踪して3日が過ぎた……

…………


ワタシは深夜のレイドボス戦を終え アブル連邦城塞都市に居た……




「これから 日替わりの依頼に行くんだよね……」


パートナーが聞いてくる


「……あぁ そのつもりだが……」


ワタシはレイドボス用から通常戦闘用にスキルを切り替えながら 答える……


「……“彼” 見つからないね……」


「……そうだな…」


「ボンドのみんなも 心配してるはずだよ……

いったい どうしちゃたんだろう……」


「……ワタシは“彼”に対して なにか失礼な事をしたのだろうか?」


「きみにサブリーダーを任せるほど信頼してたんだよ……きみのせいじゃないと思うよ……」


「……しかし ワタシに相談は無く 消えてしまった…



「“彼″とは親友なんでしょ……信じようよ」


「……しかし…」


「きみは 今 司祭なんだから たとえ裏切られても 信じぬかなきゃ……」


「…公国の“司祭”資格試験官の言葉だな……
信じる心と神への祈りが ちからになる…

“彼”を信じ再会を信じる……
偶然の神にでも祈ってみるか………」


「人と人のきずなって きっと強いものなんだよ…
信じようよ…」


パートナーと話しているうちにワタシ達は連邦城塞都市入り口まで来ていた……


城門の傍(かたわら)に
見たことのある後ろ姿があった……


「……そんな……まさか?」

軍服を着た将校然とした姿 帽子から覗く空色の髪……



「……マ・ス・ター……」



ワタシは 思わず声をかけていた……

パートナーも驚きを隠せない……
両手で口を覆い目を大きく見開いている



ワタシ達に気付き男は振り返った…


「はい、お久しぶりです…。」
爽(さわ)やかな笑顔だった……

「あら?お久しぶり…」

彼のパートナーがテントの蔭(かげ)から姿を現(あらわ)した
両手に何か持っている
買い物帰りのようだった…

「もぅ〜ばか〜
心配したんだから〜」

ワタシのパートナーが彼に駆け寄りその胸をポカポカ叩いている


「心配を、おかけしてすみません…。」



パートナーの頭を優しく撫でながら 彼は 謝る


「うっ …うゎ〜〜ん……」

感きわまって泣き出してしまう……


「この娘は わたしが看(み)てるから あなたは行って来なさい 彼女と話があるのでしょう?」


泣きじゃくるワタシのパートナーを彼から引き取り
彼のパートナーが優しく
微笑む……


「お願いします……。」



「私達はch(チャンネル)を移動しましょう。」


「……あぁ ……そうだな……」

ワタシは やっとそれだけ言えた……
……涙が溢(あふ)れないよう我慢していたから………